放課後 (講談社文庫)東野圭吾 ¥ 600 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
放課後 (講談社文庫) | |
| 東野圭吾さんの作品は大好きで、ほとんど読んでいると思いますが、今まで私のなかに漠然とあった疑問がこの作品を読んで形になりつつあります。この方は女性嫌いか、女性に対して偏見があるのではないでしょうか。いろんな作品に登場する女性が冷たすぎるか、そうでなくても同じ女性として共感を感じないというか現実感のない女性ばかりな気がします。この作品の奥さんも、せっかく宿った命を産めなかった恨みは女性としてよくわかります。でも、それを殺意にもっていくのは性急すぎるし気がします。他に男が居てもです。女性というのは情と非情の間を行きつ戻りつ、複雑に生きてます。(人間誰でもそうでしょうが。)そこらへんの匙加減がいまひとつな気がします。ひとつのエピソードで女性を大胆な行動に走らせすぎて、女性の読者として女性の登場人物に感情移入ができないまま不完全燃焼で作品を閉じることがちょっと残念です。 本書は1985年の第31回江戸川乱歩賞受賞作であり、作家東野圭吾の出発点をなす作品である。本賞受賞までの道のりは決して平坦ではなかったそうだ。作品の舞台は私立清華女子高等学校。そこで生じた2件の殺人事件をめぐる学園ドラマが全... | ||
村上春樹にご用心内田樹 ¥ 1,680 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
村上春樹にご用心 | |
| 本書は、「村上春樹がノーベル文学賞を受賞していたら新聞に掲載されるはずだった文章」とあとがき以外、 すべて内田さんの人気ブログ「内田樹の研究室」の文章の採録なので、日々内田さんのブログを閲覧している 人には取り立てて新しい発見はないと思います。 むしろ、この本は既存の内田ファンではなく、「内田樹を読んだことがない村上春樹ファン」の人に読んで みてもらいたいです。 今までの村上春樹評論とはまた異なった解釈がなされています。 この本で秀逸なのは「村上文学の世界性について」の章。 村上作品には「父」が登場しないんです。 知ってました? その「父」とは、一家の大黒柱と呼ばれたり、思春期の娘に疎まれたりする、要するに「親父」のことではありません。 親父が出てこない小説にも「父」は現前します。普通はね。 しかし、村上春樹の小説にはその「父」が登場しない。 内田先生は、そこに村上作品が世界的なポピュラリティーを獲得した理由を求めます。 「何?その『父』って」と気になってくるでしょ? そんな人は、今すぐ「ショッピングカートに入れる」をクリック!!ブログに書かれた文章を一冊にしたものだというこ... | ||
街道をついてゆく 司馬遼太郎番の6年間村井重俊 ¥ 1,470 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
街道をついてゆく 司馬遼太... | |
| 私は司馬遼の大ファンであるが、「街道をゆく」はまだ読んでいない。 「街道をゆく」は司馬遼太郎が1971年から1996年まで実に25年もの間 週刊朝日に連載されたもので、文庫本では43冊になる大作だ。 その25年のうち最後の6年間を担当したのが村井重俊さんだ。 彼も司馬遼の大ファンであるが、当時 不覚にも「街道をゆく」は読んだことがなかったらしい。 結局、私は「街道をゆく」の前に「街道をついてゆく」を読んでしまった。 この・・・ついてゆく、は言うまでもないが司馬さんが主人公である。 と、同時に旅の先々でかかわった人たが生き生きと描かれており そのことが改めて司馬さんの人柄を見事に描写している。 著者が書いているとおり”司馬さんは誌面で生き続けている” この本を読んだことで「街道をゆく」に興味がわいてきた。 村井さんが共に旅をした最後の6年間から先に読んでみようかな・・・ そんな気持ちになりました。 | ||
遠き落日〈下〉 (集英社文庫)渡辺淳一 ¥ 630 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
遠き落日〈下〉 (集英社文... | |
| 野口英世がアメリカで成功を収め、日本に凱旋帰国し母親のシカに親孝行するところは感動しました。また海外に出てからの野口英世について考察も含め詳しく書かれており、大変野口英世に興味を持つことができました。 | ||
遠き落日〈上〉 (集英社文庫)渡辺淳一 ¥ 600 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
遠き落日〈上〉 (集英社文... | |
| 上下巻一気に読みました。いや、凄い。野口英世は、本当に凄い。強烈な個性と、信じがたい努力。こんな人が日本にいたとは知らなかった。言葉では言えないくらい、感動した。野口英世は実に実に凄い。波乱に満ちた人生である。猪苗代から医者を目指して上京し、 さらに学者となるために、ほとんどアテのないアメリカに単身渡米し、 苦難を乗り越えて世界的な学者となっていく。 今の我々に彼のような生き方ができるであろうか。 自分の故郷、さらには日本の医学界に見切りをつけて無謀ともいえる アメリカでの彼の生き方は我々に勇気を与えてくれる。 若い人にとって、この本は勇気を与えてくれるものだと信じる。 日本でダメなら世界があることを教えてくれる。これほどでたらめな人物がお札になって毎日その顔を見ていることを、日本人の多くはわかっているのだろうか。お札の人物を選定した人たちは、野口の実像を本当に知っていたのだろうか。野口の伝記を小学生の頃に愛読していたわたしにとって、この小説は衝撃だった。故郷の友人が苦労して送ってくれた金を、遊興に使い果たしてしまう。婚約者の親に出させた渡航費も遊びで使い果たす。最初から返すつも... | ||
漱石の思い出 (文春文庫)夏目鏡子 松岡譲 ¥ 660 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
漱石の思い出 (文春文庫) | |
| ”実家に帰れ”、”離縁する”。腹立ち紛れに時に暴力をふるう夫と、静かにしかし頑固に居直る妻。漱石にとって鏡子夫人は、憎らしくも頼もしい、肝っ玉かあさんだったのかな。出て行けと叫びながら、7人もこどもをもうけた夫。原稿料を横取りするも、漱石の信奉者たちの借金に応じ、世話を焼き、決して夫に恥をかかせなかった妻。生まれも育ちもよい上品なインテリ夫婦のわりには、庶民的な派手な喧嘩もあり。森茉莉えがく鴎外の家庭と比較すると、面白い。やっぱり、らしいなと納得。文豪・夏目漱石。彼の、夫としての顔、父親としての顔、そして 人間としての顔はどうだったのか?妻の夏目鏡子さんが語り、 長女筆子さんの夫である松岡譲さんが文章にまとめた作品。 誰よりも一番身近にいた人だからこそ語れる漱石の日常。作家と してではなく、一人の人間としての姿が鮮やかに描かれている。 精神的な病や胃病に悩みながらの作家生活、夫としての顔、父親と しての顔、そして漱石を慕う多くの人たちとの交流など、どの話も 興味深いものばかりだった。そこには人間臭い漱石がいる。気難しく 怒りっぽい人だとばかり思っていたが、温かく思いやりがあり、細... | ||
超芸術トマソン (ちくま文庫)赤瀬川原平 ¥ 945 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
超芸術トマソン (ちくま文... | |
| 芸術家・作家・画家など多彩な肩書を持つ著者による、街にあふれる芸術を超えた「超芸術」を楽しく紹介する内容。とはいうものの、ものは言いようで、見方を変えれば単なる「無用の長物」紹介。ただ、その「無用さ」がなかなか見事で、赤瀬川氏率いる「超芸術トマソン観測センター」の面々に見出されると、たちまち「超芸術」と化してしまう。 つまり、ここでいう超芸術とは実体として存在するのではなく、見る人に発見されることによって生じるという、縁起的なもの。そのような「超芸術」たちが、かなり興奮気味に紹介されているため、読む側もある程度テンションを上げておかないと、白けてしまうので要注意!!個人的には、こういう発想は好きなのだが・・・ さて、ここで「超芸術」に関する著者の言葉を引用。 芸術とは芸術家が芸術だと思って作るものですが、この超芸術というものは、超芸術家が超芸術だとも何とも知らずに無意識に作るものであります。だから超芸術にはアシスタントはいても作者はいない。ただそこに超芸術を発見する者だけがいるのです。(抜粋) この言葉に「超芸術」の本質が隠されているように思う。さらに、静に以下の言... | ||
宮沢賢治が面白いほどわかる本小柳学 ¥ 1,575 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
宮沢賢治が面白いほどわかる本 | |
| 〜心疲れている人におすすめ。「面白いほどわかる本」シリーズはちょっとお勉強系のものが多いけれど、これは、読み物として良い本でした。取り上げられている童話の登場人物/登場動物/登場植物などなど・・。この本を読んで、賢治がどれほど多くのキャラクターを描き、どのキャラクターも愛すべき部分をもって描かれていることを感じ、改めて賢治に脱帽。童〜〜話のちょっとしたやりとりを読んで、賢治作品にどっと浸りたくなる本。〜著者小柳学さんと、小さな「王子さま」との対話、とのことで、一瞬軽すぎる本かと錯覚するが、賢治を心から愛する著者の、私心のない優れた賢治入門書だった。私自身、賢治の愛読者の一人だが、これまでの賢治を紹介したり論じたりした数々の本は、おしなべて「賢治ファン」だけのために書かれていたと思う。しかし、この本は、その枠を超えて賢治に初めて触れる楽しさを与える本ではないか。20数枚のイラストは幻想的で、本書を魅力的にしている。 | ||
芥川龍之介全集〈1〉 (ちくま文庫)芥川龍之介 ¥ 840 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
芥川龍之介全集〈1〉 (ち... | |
| まず芥川龍之介は全集で読むべき作家です。それは作品の大半が短編で、その創作内容が広いためです。純文学、時代小説もの、王朝もの、切支丹もの、明治もの、児童小説など挙げればきりがありません。そして純文学の正道を歩みつつ、ここまでレトリックを駆使する作家も珍しい。多彩かつここまで楽しませてくれる作家もそうはいないと思います。短編集で満足するには惜しすぎる作家なのです。 しかし一般読者にずっと愛されたのに反し、人間の苦悩を好む戦前文壇では永く無視されてきました。短編中心で、ラストの落ちで読者をあっと言わせるような話の書き手である以上合いが悪かったのだと思います。話の大半は最後が幻想文学的で、通常の内容では結末がつけられないと本人が言っている程です。 この全集の年代順に読んでいくと作品の傾向などの変化が感じられて良いです。第一巻ではシニカルで皮肉的な「MENSURA ZOILI」が一番お気に入りです。どうぞ一度全集を通して読んでみて下さい。きっと気に入る話が見つかります。年代順がバラバラなこともありますが、芥川龍之介の年代順に並べたものです。この本の評価できるところは、左側に語注が常にある... | ||
村上春樹 イエローページ〈2〉 (幻冬舎文庫)加藤典洋 ¥ 520 通常3〜5週間以内に発送 ★★★★★ |
村上春樹 イエローページ〈... | |
| イエローページ1と同様この本も村上春樹の小説の解釈を行っている.個人的に一番白かったのはノルウェイの森についての箇所. ノルウェイの森は素晴しい小説だと思う.村上春樹というよりは今まで呼んだ作品の中でもトップクラスの衝撃を与えてくれた.だが「この小説の何処が良い」と聞かれた時に上手く答えることは出来なかった.感じたことをそのまま言葉に出来ないことを幾度も歯がゆく思ったものだ. それをこの本はさらっと代弁してくれた.ノルウェイの森が与えてくれた感動の源泉,それをたったの数行で・・・それだけでもこの本は読む価値があった.文庫化に際して加えられた著者による「あとがき」が面白い。『ねじまき鳥クロニクル』に出てくる井戸の解釈をとおして1995年に村上春樹が言い出した「デタッチメントからコミットメントへ」の真の意味がつかみ取られていて、単行本を読んだときに少し残ったフラストレーションが、すっきり解消された。また、内田樹氏による文庫版の解説も出色。なぜ村上作品が世界中で読まれているのか、そして、にもかかわらず日本の評論家のほとんどが彼の評価を避けているのか、について書かれていて、「イエローペ... | ||
宮沢賢治に聞く (文春文庫)井上ひさし こまつ座 ¥ 650 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
宮沢賢治に聞く (文春文庫) | |
| 井上ひさしは本当に優しい人である。初心者に、愚かな者に、自分が発見したことを懇切丁寧に教えてくれる。 生来の、教師なのだ。 全部で四部構成。 第一部は「賢治の宇宙」。宮澤賢治だけじゃない、石川啄木まで登場。聞き手は勿論井上ひさし。文句なく愉しい。 とくに、面白いのは第二部「宮澤賢治はこう生きた」。写真入り、絵いり、巨大活字、週刊誌なみの大見出し、小見出し。まことに身近に感じられる。 決まりは第三部におさめられている「講演 賢治の世界」である。井上ひさしの目玉がどう賢治をみているかわかる。 付録に「宮澤賢治年譜」もついてこのお値段。ゴタゴタいわないでこの書をもって賢治の世界と現在を観てみよう。だいぶ、世の中が変わって見えるはず。サービス精神旺盛な井上ひさし先生にはいつもながら感心する。できれば、単行本がおすすめ。老人には少し活字が小さい。宮澤賢治に関心ある諸氏必携の書。 宮澤賢治関連本は多々ある。研究者は数え切れないほどいる。だからある程度以上の賢治マニアには、言わずもがなな事が多く書かれてあって必要ないかもしれない。けれども、単に童話を20〜30読んでいる『だけ』のような人には、ここ... | ||
村上春樹 イエローページ〈1〉 (幻冬舎文庫)加藤典洋 ¥ 520 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
村上春樹 イエローページ〈... | |
| この読解本を読み終えた後では、村上さんの作品が自分の中で「小説」ではなく「思想書」に近い雰囲気を帯びてきているのを感じます。読んでみれば分かりますが、どの内容も単なる「こじ付け」や「都合のいい解釈」ではないのは、加藤氏はじめゼミ生数十名による集団的批評による評論精度の向上の結果の賜物でしょう。本当にお疲れ様です。村上作品に対する自分の持つイメージを大切にする方もおられるでしょうが、真実を知りたければ本書を手に取ることを強くお勧めします。少なくとも僕は既成の見解を打ち壊され、激しいショックを受けました。「漠然と小説を読む」という行為は、村上春樹にはもったいない。読む=理解ではないこと、小説は一生楽しい玩具箱であることを教えてくれたこの本に感謝します。 元来,にとって正しい解釈というのはあるのだろうか.国語の問題ではあるまいし「このとき作者は何を考えていたか」などと問いを考える必要は無い.読み方は自由だ.ましてや村上春樹のような作家の小説に解析など野暮なだけではないか? このように考えていたがこの本はそれなりに楽しませてくれる.書いてあることにはそれなりの整合性があり,かつ通常では気が... | ||
漱石文明論集 (岩波文庫)夏目漱石 ¥ 735 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
漱石文明論集 (岩波文庫) | |
| 実は小説よりも好きかもしれない。特に好きなのは明治三十四年三月二十一日の日記。「未来は如何あるべきか。自ら得意になる勿れ。自ら棄る勿れ。黙々として牛の如くせよ。孜々として鶏の如くせよ。内を虚にして大呼する勿れ。真面目に考えよ。誠実に語れ。摯実に行へ。汝の現今に播く種はやがて汝の収むべき未来となって現はるべし。」すごい。日記とは思えない。日記ってとても個人的なことを綴るものだから、これが漱石の素顔なんだと思う。作家として、人としての誠実さに感動する。「今までは全く他人本位で、根のない萍のように、そこいらをでたらめに漂よっていたから、駄目であったという事にようやく気がついたのです。」このことに気付いた漱石はこの後大変”強くなった”と語っています。他人には気付かれない自分の中の煩悶に悩み、苦しみ続け、葛藤の末にたどり着いた彼の境地。これから社会へ出る人にぜひ勧めたい一冊です。 明治時代の大インテリ(政府から派遣されて留学したのはご存知の通り)である漱石が、「文明開化」に対する抵抗感などを語っている。漱石の生きた時代、次々に輸入されてくる文化によって、人々は否応なしに急激な変化の波に呑み込ま... | ||
妊娠カレンダー (文春文庫)小川洋子 ¥ 420 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
妊娠カレンダー (文春文庫) | |
| 芥川賞受賞作となった「妊娠カレンダー」。妊娠をきっかけに、刻一刻と変貌を遂げ、どんどん知らない人になっていく姉に戸惑う妹。やがてアメリカ産グレープフルーツジャムを作り続けることにより、周囲を振り回し続ける姉に密かな抵抗の手段を見い出す。「悪意」と言うよりは、ふとしたきっかけで、暗い考えにとらわれる、そのハードルのあっけなさみたいなものを書こうとしたのだろうか?「夕暮れの給食室と雨のプール」。婚約者との同居生活が始まる前の、細々した生活の準備の様子を書いても書いても、見事に生活臭がしないところがさすが、小川洋子(笑)。こういうノスタルジックな日常からファンタジーに迷いこんでしまう…というのも彼女の基軸の一つ。「博士の〜」や「ミーナ〜」もこの路線かな?しかし、私は作者の真骨頂は「ドミトリイ」だと思う。この頃すでに、短編集「海」の「バタフライ和文タイプ事務所」に匹敵する完成度のものを書いていることに驚かされた。読んでほんわかしたいい気持ちになるのは、「博士〜」や「ミーナ〜」だろうけれど、ザ・小川洋子なのは「バタフライ和文タイプ事務所」や「ドミトリイ」のような作品だと思う。『妊娠カレンダー』... | ||
子規365日 (朝日新書 127)夏井いつき ¥ 798 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
子規365日 (朝日新書 ... | |
| 俳句を少しでもかじっている人で正岡子規の名前を知らない人は、まずいないだろう。 子規の句碑は、日本中至る所にある。 たとえば故郷松山駅前には 春や昔十五万石の城下哉 の句碑があるし、東京の石神井川沿いには 若鮎の二手になりて上りけり の句碑がある。だが子規はわずか34歳で亡くなっている。この短い生涯で2万4000句もの俳句の他、 多くの短歌、随筆を遺している。 本書はその俳句の中から1日1句、合計365句を、短い感想と共に並べている。 この選句がいい。名句だけでなく、あまり取り上げられない句、異色と言われる句など、 まさに子規の「大きさ」を見る思いだ。日記のように1日一句ずつ読でいってもいいし、 たとえば8月20日なら、その日の句を見ればいい。 蕪村が好きだったと言われる子規俳句の自由さ、自在さ、先鋭さ……わずか365句だが十分に堪能できる。 また短いが著者の感想と句評も、子規俳句同様、軽やかで自在だ。 何げなく手に取った一冊だが、まさに優れものの1冊だった。 なお著者は「俳句甲子園」の運営などでも活躍している、子規と同じ松山在住の俳人である。 それにしても、子... | ||
永井荷風という生き方 (集英社新書)松本哉 ¥ 714 通常24時間以内に発送 |
永井荷風という生き方 (集... | |
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三島由紀夫―剣と寒紅福島次郎 ¥ 1,500¥ 300¥ 3,000 ★★★★ |
三島由紀夫―剣と寒紅 | |
| 三島由紀夫作品が好きなので、こちらも興味をそそられて購入しました。 ただ、ちょっと筆者の主観的な妄想のような回想が入り過ぎていて 読みにくいというか、濃すぎて飽きてきてしまいます。 小説なのか、自伝なのか、立ち位置をしっかりしてほしい。 そうでないと、ゴシップ本の域を抜けないでしょう。 三島由紀夫の一部分を知る上では、良書だと思います。発禁となるほどの内容という点に興味をそそられ、読んだ。ミーハー的な気持ちから購入したと言える。しかし、読み進めるにつれ、あの完璧さばかりが前面に押し出されていた三島という人物の“人間らしさ”を知ることができ、最終的にはその点で三島という人を考えさせられる良いきっかけになったのも事実だ。 この作品は「文学」と位置づけられているが、文章から、福島氏の“創作(=小説)”とは到底思えないものが滲み出ている。ほぼ事実の記だと言っていいと思う。暴露、である。そのような言葉を遣うといかにも嫌悪されべき響きがあるが、私はそうは思わない。たとえその内容が福島氏ひとりの考えに基づくものだったとしても、死後なお莫大な影響力を持ち、語られ続ける三島由紀夫という人間に関して... | ||
ダイヤモンドダスト (文春文庫)南木佳士 ¥ 450 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ダイヤモンドダスト (文春... | |
| 「死」とは何か?医師でもある著者は、リアルに問いかけてくる。たんたんとした文章の中に、著者の強烈な感情が埋め込まれた文学作品。私は学生時代、教科書で著者を知りました。美化して描かれがちな「死」を正面から捉えた、容赦のない作品。私の友人に弁護士がいますが、彼女は弁護士を辞めて今、普通の会社で経理業務を行っています。私も含めて多くの人は彼女に対して「もったいない。なんで弁護士を続けないの?」と聞きますが、彼女の答えは「私には向いていない」というものでした。その理由は、弁護士は依頼人の話を聞き、弁護することを使命とされますが、裁判等で検察側の尋問を受けた時、明らかに検察が言っていることが正しいと思うことが良くあるのだそうです。それでも仕事と割り切って被告人を弁護するべきなのか?を常に悩むようです。本書を読んで、医師とは弁護士以上に心労の多い職業ではないか?と再確認しました。 人間にとって一番悲しいことは死です。それは死んでいく本人よりも残された人の方が強く感じるものです。その死を毎日のように直面する医師という職業はある意味人間としての感情を放棄した生き物なのかもしれないと思いました。そんな... | ||
謎とき村上春樹 (光文社新書 (329))石原千秋 ¥ 882 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
謎とき村上春樹 (光文社新... | |
| 作者は作品は書かれた瞬間から自分を離れるといっている。その観点からは、ここまで考えながら作品を書いているのか。 確かに初期三部作の関連性や直子を巡る記述や井戸に関する共通性は認められるけれども、ホモソーシャルとなるとどうだろう。 作者の中にはもっと見えない者たちへの思いがあるように感じる。 この人の深読みすごい!! すべてのテクストは、小説を解釈するためにあると。 村上作品の復習になりますし。 村上春樹の作品の何が面白いのか分からない人にはオススメ!! あー、そうだっのか!! っと思わず、叫びたくなる。 そして、風の歌を聴けを再読したなる。 勤務する大学で石原千秋氏が村上春樹を講義しているのをなにかで目にしていたので、いつかこういう本がものされるとは思っていましたが、新書だとは思いませんでした。現時点での中間報告といったところでしょうか。しかし正直、氏の著作が出されるたびに手にし、そこから多くの示唆や刺激を受けつつも、最近少しずつ違和感を覚え始めていました。それはたとえば、本書の題名の由来になっている江川卓氏の「謎とき 罪と罰」が「読み」の提示はもちろんありつつも、キリ... | ||
一九三四年冬―乱歩 (新潮文庫)久世光彦 ¥ 500 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
一九三四年冬―乱歩 (新潮... | |
| 久世さんの作品の中では一番好きです。 どれも独特の雰囲気がありますが、中でもこれはイイです。 懐古趣味的で、乱歩の世界の濃密なエロティシズムと差し色のようなグロテスク。 美青年に気を引かれる中年男、という部分は少し「ベニスに死す」を彷彿とさせ、 またあるときは美女に目移りし、ホテルの隣の部屋に怪奇的妄想を抱いたりする、 スランプで情緒不安定になっている乱歩の、外人向けホテルに逃避中の数日間(?)を描いています。 また、そんな生活から生み出される妄想を昇華したような小説が、 作中作で全部読めるんですが、これは乱歩っぽいといえば乱歩っぽいんですが、 何かもっとこう・・・熟れた桃の中にどっぷり入ってめくるめく陶酔に酔っ払ったような感じです。 アクがあってくせになるタイプの本です。私はめったに読み返しはしないのですが、 これはときどき読み返してしまいます。雰囲気にひたりたい時に。1934年、乱歩は新聞に連載していた小説「悪霊」を突然自分の都合で打ち切るという醜態を世間に晒し、数ヶ月間姿を隠していた。打ち切りの理由は「構想の未熟」であったと言う(乱歩の構想は「アクロイド」だったらしい)。... | ||